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大宮氷川神社│埼玉県さいたま市大宮区高鼻町

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氷川神社コンテンツ

目次

埼玉県さいたま市大宮区高鼻町の大宮氷川神社の概要

大宮氷川神社は、第五代 孝昭天皇三年に創建されたと伝わる、埼玉県さいたま市大宮区高鼻町に鎮座する神社です。

『延喜式』「神名帳」に記載される式内社で、埼玉県唯一の勅祭社です。

埼玉県を中心に280社を超える全国の「氷川神社」の総本社です。

当社の社名は「氷川神社」ですが、他の同名の社と区別するため、本稿では「大宮氷川神社」と記載しています。

祭神

祭神として、出雲系の次の神様が祀られています。

  • 須佐之男命(すさのおのみこと)
  • 稲田姫命(いなだひめのみこと)
  • 大己貴命(おおなむちのみこと)

祭神ごとに三つの社があった

祭神三柱は、現在は同じ社殿に祀られていますが、江戸期には別の三つの社殿に祀られていたそうです。

『延喜式』には一柱の神様

『延喜式』に当社の祭神の数は一座(一柱)とあるため、平安期以降、祭神の重層化があった可能性があります。

社名の由来

当社の社名の由来は、次の説があります。

  • 出雲地方の島根県と鳥取県の県境を流れる「斐伊川(ひいかわ)」に由来する
  • 古語で氷を表す「ヒ」、泉または池を表す「カハ」をあわせた

創建の由来

杵築大社(出雲大社)を遷した

『氷川大宮縁起』および『新編武蔵風土記稿』には、第五代孝昭天皇三年、出雲国氷川上に鎮座する「杵築大社」を遷し、「氷川神社」の神号を賜ったと伝えられています。また、「氷川」の社名は、出雲国を流れる大河「斐伊川(肥河)」に由来するとも伝えられています。

「杵築大社をうつす」という表現は、一見すると「『出雲大社』そのものを当地・大宮市へ移した」とも読めます。

しかし実際には、神様と社殿そのものの移転ではなく、出雲の「杵築大社」の神威を当地・大宮に勧請したと考えるのが自然でしょう。

「アラハバキ」の神様を祀った

当社の境内社に、「稲田姫命」の御親神を祀る「門客人神社(かどのまろうどじんじゃ、もんきゃくじん-)」があります。

「門客人神社」は、江戸時代以前には、「荒脛巾神社(あらはばきじんじゃ)」と称していました。祭神は不明ですが、その社名から「荒脛巾神社」では「アラハバキ」の神様を祀っており、この神様が当社・「大宮氷川神社」の「元々の神様=地主の神様」であったろうという説が唱えられています。

古くから聖地とされた場所に、新たな主祭神が祀られる際、もともとの地主神が、本宮社殿のその傍らに併せて祀られる例があります。たとえば、「鹿島神宮」では「三笠社」に「山の神」を、「飯香岡八幡宮」では「六所御影神社」に地主神を祀っています。

こうした例にならえば、「荒脛巾神社」もまた、「大宮氷川神社」創建以前からこの地に祀られていた地主神として、本宮の傍らに残された可能性があります。

参考:『新編武蔵風土記稿 巻之151 足立郡之17,巻之152 足立郡之18,巻之153 足立郡之19,巻之154 足立郡之20』P16

武蔵国造も出雲系

『先代旧事本紀』巻十「国造本紀」によれば、第十三代成務天皇(第十二代景行天皇の御代とする説もある)の頃、出雲系の兄多毛比命(えたけひのみこと・えたもひのみこと)が朝廷より武蔵国造に任じられたと伝えられています。

一方、初代武蔵国造は兄多毛比命ではなく、その子の伊狭知直(いさちのあたえ)であったとする説もあります。

天穂日命 → 武夷鳥命(たけひなとり-)→ 出雲臣系 → 兄多毛比命(大多毛比と同一?) → 伊狭知直

  • 『高橋氏文』に、景行天皇が上総の浮島宮に滞留した際、「無邪志国造の上祖の大多毛比」が浮島で奉仕したと記されている

ともかく、当地・大宮は、国造および鎮守社がそろって出雲系であった時期があるようです。

見沼

見沼(三沼)は、かつて、さいたま市から川口市にかけて存在した、「コ」の字型の巨大な湖です。享保十三年に干拓され消失しましたが、さいたま市の「見沼区」の名称に、その名残が見えます。

見沼は、当社・「大宮氷川神社」を筆頭に、氷川系の古社の歴史を考えるうえで大変重要な湖です。当社の清水も見沼に注いでいたと考えられます。

見沼の南端はどこまで?

見沼の具体的な場所について、『新編武蔵風土記稿』に掲載されている江戸期の地図である「正保年中改定図」を参考に、大まかな場所を同定しました。見沼の南端については、江戸期の村名と現在地名を比定することで、柴川第一調整池が見沼の南端であることがわかりました。

  • 片柳村 → さいたま市見沼区
  • 大牧村 → さいたま市緑区大間木
  • 付嶋村 → さいたま市緑区大間木(飛び地)
  • 指間村 → 埼玉県川口市差間
「正保年中改定図」の切抜き
正保年中は1644~1648年
江戸期の村名と現在地名を丁寧に比較し、
見沼柴川第一調整池が見沼の南端にあたることがわかる

江戸期の見沼(三沼)と現在の地形図の比較

『新編武蔵風土記稿』に、江戸期の異なる時代の見沼(三沼)の地図が掲載されています。現在の地形図とを示します。

正保年中(1644~1648年)の地図には、「大宮氷川神社」は記載されておらず、「氷川女體神社」だけが記載されています。この時代は何らかの理由で「女体神社」の方が勢力があったのではないかと考察されています(『武蔵国式内社の歴史地理』)。

元禄年中(1688~1704年)を見ると、「大宮氷川神社」「氷川女體神社」の二社が記載されています。

  • 地図の参考:『新編武蔵風土記稿 巻之135 足立郡之1,巻之136 足立郡之2,巻之137 足立郡之3,巻之138 足立郡之4,巻之139 足立郡之5』

一直線にならぶ「大宮氷川神社」「中山神社(中氷川神社)」「氷川女體神社」─ 氷川三社レイライン

「氷川神社」と称する神社は、ほぼすべてが旧 武蔵国にあるそうです。旧 武蔵国の領域では、埼玉県に162社、東京都に59社、神川県に1社。一方、旧 武蔵国以外では、千葉県に1社、茨城県2社、栃木県に2社、北海道に1社を数えるのみとのことです(『祭祀圏の問題』)。

このうち、古い創建伝承をもつ「武蔵一宮 氷川神社」(さいたま市大宮区)、「中山神社(中氷川神社)」(さいたま市見沼区)、「氷川女體神社(氷川女体神社)」(さいたま市緑区)の三社について、その鎮座地を縄文海進時の海面を再現した地図上にプロットしてみました。

すると、三社はいずれも高台に位置し、当時も海没していなかったことが確認できました。さらに、この三社はほぼ等間隔で一直線上に並んでいることもわかりました。

地図上のマーク社名場所創建
左の●大宮氷川神社さいたま市大宮区第五代 孝昭天皇三年
中央の▲中山神社(中氷川神社)さいたま市見沼区第十代 崇神天皇の御代二年
右の■氷川女體神社(氷川女体神社)さいたま市緑区鎌倉時代かそれ以前

次に、三社を直線で結び、そのおおよその角度を調べました。普段はこうした線引きによる解釈に距離を置く当サイト筆者ですが、実際に角度を確認したところ、プラス150度 = マイナス30度となり、冬至の日の出とほぼ同じ方向を指していることがわかりました。

氷川三社レイライン
左の●:大宮氷川神社
中央の▲:中山神社(中氷川神社)
右の■:氷川女體神社(氷川女体神社)

一直線にならぶ?「大宮氷川神社」「中氷川神社」「奥氷川神社」

さらに広域の「氷川神社」のラインとして、当社・「大宮氷川神社」、所沢市山口の「中氷川神社」、東京都西多摩郡奥多摩町の「奥氷川神社」が知られています。

この三社は、「大宮-中宮-奥宮」あるいは「氷川-中氷川-奥氷川」となり、『武蔵国式内社の歴史地理』には「東西のほぼ同一線上にある」と記されています。

地図上のマーク社名場所創建
赤●大宮氷川神社さいたま市大宮区第五代 孝昭天皇三年
青●中氷川神社所沢市山口
黄●奥氷川神社東京都西多摩郡奥多摩町

赤・青・黄色の●印が、この三社となります。きれいな直線にはなりませんが、西方向への開拓の足跡と捉えることもできそうです。

写真図鑑

拝殿

本殿周辺

舞殿

鳥居

一之鳥居

二之鳥居

三之鳥居

楼門

楼門前手水舎

氷川茶庭(額殿)

神楽殿

蛇の池

当社の裏には清水が湧いており、以前は禁足地でしたが、現在は手前まで散策することができます。

かつて、さいたま市から川口市にかけて見沼という巨大な沼があり、この清水は見沼に注いでいたといいます。

境内風景

基本情報

参考

下記を参考にさせていただきました。

抜粋

Webサイト

書籍

  • 『日本民俗学 〔第1-4〕 神事篇』中山太郎 著 昭和5
  • 『新編武蔵風土記稿 巻之151 足立郡之17,巻之152 足立郡之18,巻之153 足立郡之19,巻之154 足立郡之20』内務省地理局 明17年
  • 『新編武蔵風土記稿 巻之135 足立郡之1,巻之136 足立郡之2,巻之137 足立郡之3,巻之138 足立郡之4,巻之139 足立郡之5』内務省地理局 明17年
  • 『日本の神々 神社と聖地 11 関東』谷川 健一 編 1984年

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