天満神社│佐倉市下勝田

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佐倉市下勝田の天満神社

概要

由緒、創立年不詳。下勝田村の旧村社で、菅原道真公を祭神とする神社です。

毎年7月15日に本社に奉納される「下勝田の獅子舞」は、佐倉市の指定文化財(無形民俗文化財)に登録されていました。ただし、佐倉市のWebサイト(更新日:2022年06月01日)には、現在行われていない旨が記載されています。

下勝田の鎮守である本社と、上勝田の鎮守 大宮神社は仲が悪く、「背中合わせ」に建てられているという話がありますが、偶然なのか故意なのか、真偽のほどは不明のようです。

参拝日記

下・上勝田地区は、佐倉市の東端、佐倉・酒々井・八街三市の境界付近に位置し、素晴らしい里山と谷津田を有する地域です。本社は、下勝田の台地のうえ、深い森の中に鎮座しています。

道路から見える範囲に鳥居等がなく、入り口を探すのに少々手こずりました。参道は驚くほど綺麗に掃除されており、足元の石材も良い石を使っていそうな雰囲気がしました。

山道を登り、台地の上をさらに進むと、赤い両部鳥居が。それをくぐると、目の前には大きな木のない開けた一画が広がり、中央に天満神社が鎮座しています。印旛界隈では珍しい大きな「狛牛」、正しくは「臥牛」の像でしょうか、二頭のかっぷくのいい牛が、社殿の両脇を守っています。周囲を見渡すと、地面を多い尽くすシダの海の中にぽつぽつと、石碑や境内社が見えます。「世直神社」というのは初めて見る名前でしたが、あとで調べて納得、佐倉惣五郎の仲間を祀った神社でした。

本社は、ひと気のない森の奥にありますが、地元の方にとても大事にされていることが伺える、居心地の良い神社でした。

ところで、印旛近隣では、「境内社」としての天満宮はよくみるのですが、「本社」としては珍しいなと思い、千葉県の宗教法人一覧を調べてみると、佐倉・四街道・酒々井・八街・印西・八千代市内で、「本社」としての天満宮は、下勝田に鎮座するこの一社だけでした。もっとも、明治から昭和にかけて神社の合併が盛んに行われていたことも、考慮にいれなければならないでしょう。

創建・由緒

『千葉県印旛郡誌』によると、祭神は菅原道真公、旧村社で、由緒は不明、境内社として以下の四社を祀っています。

三峰社 祭神:伊弉諾尊
世直神社 祭神:当時重右衛門
道祖神 祭神:塞神(さいのかみ、さえのかみ)三柱
道霊者 祭神:山本庄蔵

『和田の伝承』『和田村誌』によると、近世以前、下勝田住民の本 天満神社への信仰がきっかけで村内にいざこざが起こり、結果として勝田村から同地区が独立したと伝えられています。また、下勝田の鎮守 天満神社と上勝田の鎮守 大宮神社は、それぞれ社殿が背中合わせの配置になっており、1988年の時点で、同地区間の婚姻は見られないと言われています。

神社写真

社殿

臥牛(がぎゅう)の像

稲荷神社の祭神の使いが狐であるのと同様、天満宮は牛、特に臥牛(がぎゅう)といって、座っている状態の牛が使いであると言われています。

本社では、肉の付き方がリアルな臥牛が社殿を守っています。配置的に、左の牛像を正面から見るのは難しい感じです。

1924年(大正13年)、公津村(現・成田市)の石工職人 出山嘉年(でやまかねん)による制作とのことです。出山は、宗吾霊堂(東勝寺)の再建(1920年)に尽力した人物で、同寺境内の多くの石碑に名が刻まれているそうです。

鳥居

摂社、末社

『千葉県印旛郡誌』に以下四社の記載があります。道祖神だけ実物がわかりませんでした。

三峰社 祭神:伊弉諾尊
世直神社 祭神:当時重右衛門
道祖神 祭神:塞神(さいのかみ、さえのかみ)三柱
道霊者 祭神:山本庄蔵

手水舎

佐倉市指定無形民俗文化財 下勝田の獅子舞

看板『佐倉市指定無形民俗文化財 下勝田の獅子舞』

昭和四十九年四月二十七日指定

下勝田には、古くから獅子舞が伝えられています。毎年夏祭りの日になると、ここ天満神社の社前で、雄獅子・中獅子・雌獅子の三匹の獅子が舞います。この舞は五穀豊穣・家内安全などを願って奉納されるものです。

演目には、神楽舞・幣京舞・橋渡りの舞の三つがあり、篠笛と太鼓の囃子方がつきます。このほか、面をつけた十六人の踊り手による弥勒踊りが踊られますが、これは太夫のめでたい口上と滑稽な所作を伴うものです。更に、夜になると場所を移して先輩の舞が行われます。先輩とは先代の舞い手たちのことで、猿の面と蓑をつけ、当代の編子と一緒に踊ります。

下隊田の獅子舞は、現在では地元の獅子舞保存会によって受け継がれており、市内に残る数少ない民俗芸能のひとつとなっています。また、舞に用いられる舞子頭も古来のもので、雌獅子の頭には元禄十二年(一六九九)の銘があります。

平成十年三月 佐倉市教育委員会

境内風景

参拝順路

神社の入り口は、かなり迷いました。山奥へ向かうそれっぽい小道はすぐに発見できたのですが、鳥居があるわけでもなく、他に入り口らしきものは見つからなかったため、思い切って進んだところ、しっかりした石段が上まで続き、神社の鳥居を発見することができました。

詳細情報

社号天満神社
ご祭神菅原道真公
境内社三峰社、世直神社、道祖神、道霊者
住所佐倉市下勝田775-2
その他■佐倉市デジタルアーカイブ
臥牛像【左】(下勝田 天満神社)
https://www.archives.city.sakura.lg.jp/ja/Content/Detail/B-BS-03
臥牛像【右】(下勝田 天満神社 )
https://www.archives.city.sakura.lg.jp/ja/Content/Detail/B-BS-04

■佐倉市HP 下勝田の獅子舞
https://www.city.sakura.lg.jp/soshiki/wadakominkan/4/1811.html

■佐倉市HP 和田地域めぐり散策コース
https://www.city.sakura.lg.jp/material/files/group/64/wada-sansaku-course.pdf

■佐倉市HP 和田地区
https://www.city.sakura.lg.jp/material/files/group/61/sakura_saiken08_wada.pdf

■佐倉市HP 上勝田の盆綱
https://www.city.sakura.lg.jp/soshiki/wadakominkan/4/2501.html

参考

上記のWeb サイトのほかに、下記を参考にさせていただきました。

  • 『千葉県神社名鑑』千葉県神社名鑑刊行委員会 編 1987
  • 『千葉県印旛郡誌』印旛郡 編 1913年
  • 『和田の伝承』佐倉市立和田公民館他 編 1998年
  • 『和田村誌』和田郷土史編纂委員会 編 1988年
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