海南刀切神社 – ②本殿背後の磐座│館山市見物(けんぶつ)

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海南刀切神社(かいなんなたぎりじんじゃ)近隣地形と巨大磐座

海南刀切神社の社殿は、奥行き100mを越える巨大な岩石のかなりの部分を切削し、そこに建てられているようです(参考:『文化財調査報告書(南房総の地震隆起段丘)』千葉県文化財保護審議会)。これに関する資料はほかに見つからず、現在調査中です。

岩石の残りの部分は真っ二つに割れており、当社はこれを磐座として鎮座しているように見られます。

磐座の反対側は100mほどで海岸にあたります。磐座の割れ目は、人ひとり通れる程度の隙間が空いており、ここをくぐり、林と草原を越えると、海岸の素晴らしい景色が広がっています(参考:館山市立博物館 なたぎり)。

凝灰岩質の小丘を切削し社殿が鎮座

磐座は、高さ10mほど、凝灰岩でできています。昔は浅瀬に浮かぶ小島でしたが、5~4千年前ごろに発生した巨大地震(元禄地震クラス)により海底が隆起し陸続きとなりました。その後も何度か大きな地震が起き、現在は標高20m以上にまで達しています。

千葉県の公表した『文化財調査報告書(南房総の地震隆起段丘)』によると、のちに磐座となる巨岩の南面のかなりの部分を削り取り、そこに現在の本殿が建てられているそうです。

さらに標高図を見ると、そもそも神社の地下には巨大な岩盤があり、その一部分が地上に顔を出し磐座と呼ばれている、そんな雰囲気が感じられます。

下記の写真は、磐座と本殿の隙間部分の写真です。巨大な岩石が、地面と直角の角度で綺麗に切り取られているのが分かります。

真っ二つに割れた巨大な磐座

南側(社殿側)から見た磐座

北側(海側)から見た磐座

磐座の前の巨岩と八幡神社

背後の海

行き

海辺の風景

足元の急な林を抜けると平坦な草原がひろがっています。この場所は1703 年の元禄地震で隆起する前は海の底だったそうです。

謎の洞窟

海を背に神社のある林の方を見ると、左に大きな洞窟がありました。地面は平らで、かなりの広さがあり、上からポツポツと水がしたたり落ちてきます。内部から外を景色は、いかにもインスタ映えしそうな美しい光景でした。

帰り

詳細情報

社号海南刀切神社
ご祭神刀切大神(なたぎりのおおかみ)、稲田媛命(いなだひめのみこと)
境内社
住所館山市見物788
その他■館山市立博物館 鉈切大明神
http://history.hanaumikaidou.com/archives/8180

■館山市立博物館 なたぎり
http://history.hanaumikaidou.com/archives/4301

■館山市立博物館 田原長左衛門と石工俵家の世界
http://history.hanaumikaidou.com/archives/13202

■館山市観光協会 海南刀切神社
https://tateyamacity.com/archives/2547

■人類學雑誌第参拾萱拾壱巻第拾號 大正五年十月ニ十五日(1916年)
 鉈切船越神社所藏の割舟 西村眞次
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ase1911/31/10/31_10_330/_pdf/-char/en

■巨石巡礼 船越鉈切神社/海南刀切神社
http://home.u08.itscom.net/sakura/s_kanto/ti_natagiri/natagiri.htm

■千葉県HP 千葉県文化財保護審議会 結果等 【平成25年度以前の議事録及び資料】
https://www.pref.chiba.lg.jp/kyouiku/bunkazai/shingikai/bunkazai/index2.html

■千葉県HP 資料 文化財調査報告書(南房総の地震隆起段丘)(PDF:2,779KB)
調査日:平成22年12月18日(土)
https://www.pref.chiba.lg.jp/kyouiku/bunkazai/shingikai/bunkazai/documents/shiryou23-2-1.pdf

参考

上記のWeb サイトのほかに、下記を参考にさせていただきました。

  • 『千葉県神社名鑑』千葉県神社名鑑刊行委員会 編 1987年
  • 『安房志』斉藤夏之助 著 1908年
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