富津市竹岡の三柱神社の概要
三柱神社は、719年(養老3年)、古代房総の開拓者の祖神である天太玉命(あめのふとだまのみこと)、天比理刀咩命(あめのひりとめのみこと)、天日鷲命(あめのひわしのみこと)を合祭し創建された、富津市竹岡の造海城(つくろうみじょう)跡に鎮座する神社です。
三社大明神、三所大明神などとも呼ばれ、明治期から終戦期まで指定村社に列格していました。
本殿、伊八の彫刻、男性器の石像、山中の社殿など見所多し
県指定文化財に指定される本殿は、2013年10月、土砂崩れにより被災し、残念ながら2025年度(令和7年度)まで修理中とのことです。
しかしそれ以外にも、初代伊八の彫刻、男性器を模した彫刻、自然の中の社など、多数の見所があるとても面白い神社です。
祭神の三柱はどんな神様? 房総の三柱と言えば?
三柱の神様というと、一般的には「造化三神」もしくは「三貴子」を指すでしょう。
一方、当社祭神の三柱は、古代房総を開拓した神々の祖神、天太玉命、天比理刀咩命、天日鷲命のことです。
天太玉命(あめのふとだまのみこと)
天の岩戸開きで、娘の天鈿女命(あめのうずめ-)と共に活躍した神様で、安房神社などで祀られています。
孫の天富命(あめのとみのみこと)は、四国の忌部氏を率いて現在の安房神社近辺に上陸、房総を開拓しました。命は、三柱神社の南南東13km、JR「岩井」駅の東3km にそびえる双耳峰「富山(とみさん)」に眠っていると言われています。
天太玉命(当社祭神、岩戸開きで活躍)
├天櫛耳命─天富命(房総を開拓)
├天鈿女命(岩戸開きで活躍)
天比理刀咩命(当社祭神)
天比理刀咩命(あめのひりとめのみこと)
上述の太玉命の后神で、洲ノ神(すさきのかみ)、天比理乃咩命(あめのひりとめのみこと)とも呼ばれ、洲宮神社、洲崎神社などで祀られています。
天鈿女命の母神、天富命の祖母神にあたります。
天日鷲命(あめのひわしのみこと)
天の岩戸開きで活躍した神様で、下立松原神社などで祀られています。
孫の由布津主命(由布津主命)は、上述の天富命と共に房総を開拓しました。
関東には、社名に「鷲」(わし、おとり)や「鷹」(たか)と付く神社がたくさん鎮座していますが、その中の多くが、天日鷲命を祭神としているようです。
例:香取神宮第一摂社 側高神社(そばたか-)、酉の市で有名な台東区の鷲神社(おとり-)
創建・由緒
719年(養老3年)創建、明治期から終戦期まで指定村社、天太玉命(あめのふとだまのみこと)、天比理刀咩命(あめのひりとめのみこと)、天日鷲命(あめのひわしのみこと)の三神を合祭した神社です。
『千葉県神社名鑑』には、境内社として九十九社(つくもしゃ)、十二天神社、他五社が鎮座しているとありますが、どの社がどれに当たるのか判別できません。
三柱神社 旧指定村社
祭神
天太玉命(あめのふとだまのみこと)、天比理刀咩命(あめのひりとめのみこと)、天日鷲命(あめのひわしのみこと)
境内神社
九十九社(つくもしゃ)、十二天神社、他五社
由緒沿革
房総開拓の祖神。安房に祀る三神を養老三年に合祭した社と伝え、三社大明神、三所大明神と称され、明治四年指定村社となる。本殿は寛文一〇年の造営と伝え、精巧な組物、魚形棟飾等漁村の鎮守らしい特色を色を示している。昭和四八年県文化(財造物)指定。応永年間足利持以がこの地を領し社殿の建立を重ねると伝える。その後文明一七年、天文一〇年、慶安二年社殿造営、光圀甲寅紀行に「城山の中腹に正木が建てたる三社大明神あり、棟札は千年許りに成れり」と記す。
写真図鑑
社殿
彫刻
本殿
本殿は、千葉県の指定文化財に「三柱神社本殿」として登録されています。
2013年(平成25年)10月16日の台風26号による土砂崩れにより損壊、2025年度(令和7年度)まで再建工事中で見学はできません。JR東日本(東日本鉄道文化財団)が援助を行っているようです。
筆者が2024年11月に参拝したところ、本殿周囲に養生シートが張られていました。シートの細い隙間から、何とか写真を数枚撮影しました。
仮宮
2013年12月22日に設置された「仮宮」で、被災から二か月という短期間で造られた立派な建物です。
この中に祭神が祀られているのでしょうか?
狛犬
鳥居
一之鳥居
二之鳥居
境内社、石碑
『千葉県神社名鑑』に、境内社として、九十九社(つくもしゃ)、十二天神社、他五社が鎮座しているとあります。
社名、祭神不明。
それぞれに石が祀られている
左奥の石壁に男性器の石像などがある
社名、祭神不明
社殿? 古札納所?
岩壁の石像
直線に切られた大岩の壁面が三か所くり抜かれ、それぞれに神様が祀られているようです。
生殖器信仰、生殖器崇拝
男性器の石像は、子授けの神様でしょうか。大岩を岩をくり抜き、これだけの彫刻物を作った技術に関心させられます。
手水舎
常夜灯
三柱神社だより
「三社神社だより」なる機関紙があるようで、その内容とそれを継続するという行為に筆者は大変な感銘を受けました。Web化することがあれば、是非リンクを貼らせていただきたいです。
境内風景
左奥に青い海が見える
参拝順路
写真中央に三柱神社が見える。
一之鳥居の奥に仮屋が見える。
左の造海城は、漁村を見下ろす山城
ここを左に曲がる
ここを左に曲がる
詳細情報
社号 | 三柱神社 |
ご祭神 | 天太玉命(あめのふとだまのみこと)、天比理刀咩命(あめのひりとめのみこと)、天日鷲命(あめのひわしのみこと) |
境内社 | |
住所 | 富津市竹岡4452 |
その他 | ■千葉県HP 三柱神社本殿 https://www.pref.chiba.lg.jp/kyouiku/bunkazai/bunkazai/p111-021.html ■富津市HP 千葉県指定文化財「三柱神社本殿」等再建事業 https://www.city.futtsu.lg.jp/0000007117.html ■東日本鉄道文化財団 千葉県指定文化財「三柱神社本殿」等再建事業 https://www.ejrcf.or.jp/culture/chiba14.html ■JR東日本ニュース 「地方文化事業支援承認書贈呈式」の開催について https://www.jreast.co.jp/press/2024/chiba/20240509_c01.pdf ■千葉日報 https://www.chibanippo.co.jp/news/local/171791 |
参考
上記のWeb サイトのほかに、下記を参考にさせていただきました。
- 『千葉県神社名鑑』千葉県神社名鑑刊行委員会 編 1987年