富山(とみさん)│南房総市合戸

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南房総市合戸(ごうど)の富山(とみさん)

概要

富山(とみさん)は、南房総市の最北西、岩井海岸で有名なJR「岩井」駅から東に3km の場所に位置する、2つのピークを有する双耳峰(そうじほう)の山です。

北峰は、標高349mで、「金比羅神社」のほか、展望台(建替中)、「愛の鐘」、「八犬士終焉の地」などの名所があり、金比羅峰とも呼ばれています。南峰は、標高342mで、「福満寺観音堂」があり、観音峰とも呼ばれています。

登山道は、「伏姫籠穴ルート」「福満寺ルート」「吉沢ルート」があり、「伏姫籠穴ルート」は難所があるため推奨されていません。「伏姫」「福満寺」両ルートともに「岩井」駅から徒歩圏内の場所にあります。

富山は、滝沢馬琴の『南総里見八犬伝』の舞台となった場所でもあり、作中で伏姫(ふせひめ)が籠った洞窟の元となった岩窟は「伏姫籠穴」(ふせひめろうけつ)としてよく整備され、北峰付近には八犬士にちなんだ「八犬士終焉の地」なる休憩所もあります。『八犬伝』作中では、富山を”とやま”と読むそうです。

富山の山頂には、古代、安房より上陸し、上総、下総と、千葉県を開拓していった安房忌部(いんべ)のリーダー 天富命(アメノトミノミコト)の墓があると言われています。富山という山名も、天富命に由来するそうです。

登山日記

千葉県の神社を調べていると必然的に行き当たる、房総を開拓した忌部氏(いんべし)とそのリーダー 天富命(アメノトミノミコト)…。

さて、岩井海岸は、ひと夏に何度も泳ぎに訪れるお気に入りの場所。駅から見える富山の姿形の良さはずっと気になってはいたのですが、あの天富命の墓がこの山の頂にあると知り、居ても立っても居られず人生初の「一人登山」。

行きは危険な難所のある伏姫籠穴ルートから登頂、帰りは安全な福満寺ルートで下山。

伏姫籠穴ルートは、道中の景色が良く登っていて楽しいのと、伏姫籠穴を見学後すぐに登山できるというメリットがあります。ただし、ロープで岩登りする箇所や「足を滑らせたら滑落」するような箇所が何か所かあるのと、後半は小休止できるスペースもないため、お子さん連れや足が不自由めな方には全くおすすめできません。私も、次回来るときは選択しないかもしれません。

福満寺ルートは、足元が整備されているので安全な山登りを楽しめます。伏姫ルートに比べ傾斜が緩やかですが、景色の変化に乏しく、足元も山道という感じではないため、若干単調な印象を受けます。

駅からのアクセスが良く、登山道中は、伏姫籠穴、金比羅神社、休憩所、寺跡など見所も多いうえに、景色も素晴らしいため、大変楽しめる登山でした。

ところで、天富命の墓のようなものは発見できませんでした。

登山に要した時間

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JR「岩井」駅

↓ 32分

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伏姫籠穴駐車場

↓ 56分

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南北ピーク間の鞍部(コル)

↓ 10分程度

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北峰

↓ 20分程度

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南峰

↓ 48分

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麓の福満寺

探訪の写真・記録

JR「岩井」駅 → 伏姫籠穴駐車場

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JR「岩井」駅

↓ 20分程度

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富山中学校

↓ 13分程度

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伏姫籠穴駐車場

伏姫籠穴については、以下のページをご覧ください。

【伏姫籠穴ルート】伏姫籠穴駐車場 → 南北ピーク間の鞍部(コル)

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伏姫駐車場

↓ 後半休みながらゆっくり登って56分

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南北ピーク間の鞍部(コル)

鞍部(コル) → 里見八犬士終焉の地 → 展望台(工事中) → 富山北峰(金比羅峰)

鞍部まで登ると、足元が広く平坦に整備され、肩透かしを食らいました。ここから下山するまで終始安全目な道となります。北峰までは300m弱ほどの道のりです。

鞍部 → 富山南峰(観音峰)/福満寺観音堂

鞍部を右(南方向)に曲がると、100m 程度で南峰(観音峰)に到着します。

石造りの階段を登った頂上は、樹々に囲まれた平らな空間になっています。寂れた観音堂(跡?)、石仏等があり、足元には石造りの人工物がゴロゴロと転がっています。下草がぼーぼーで足元が危ういため、長居はしないほうが良いかもしれません。

【福満寺ルート】南峰 → 福満寺本堂

帰りは福満寺ルートで下山しました。このルートは、足元がコンクリートなどで整備されており、特に難所もなく、すいすい降りることができます。二合目より下の方が角度がきつい印象を受けました。

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南峰(観音峰)

↓ 48分

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麓の福満寺

詳細情報

名称富山(とみさん)
住所南房総市合戸
その他■安房国札観音霊場巡り 福満寺
https://awa-junrei.jp/history/12hukumanji/

■南房総市HP 富山の鐘
https://www.city.minamiboso.chiba.jp/0000001761.html

参考

上記のWeb サイトのほかに、下記を参考にさせていただきました。

  • 『古語拾遺』斎部広成 編 807年
  • 『大麻と古代日本の神々』山口博 著 2014年
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