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飽富神社(あきとみじんじゃ)│袖ヶ浦市飯富

目次

袖ヶ浦市飯富(いいとみ)の飽富神社(あきとみじんじゃ)

千葉県で2番目に長い河川、小櫃川(おびつがわ)の流域は、千葉県とは思えないほど広大で美しい田園風景が広がっています。

下流域は袖ヶ浦市と木更津を南北に分かち、北側の袖ヶ浦の台地には田んぼを見おろすように多くの神社が鎮座しており、その一つに式内社 飽富神社(あきとみじんじゃ)があります。

飽富神社は、綏靖天皇(すいぜいてんのう)元年の紀元前581年に創建された、袖ケ浦市飯富(いいとみ)に鎮座する神社です。

綏靖天皇の兄 神八井耳命(かむやいみみのみこと)により創立、祭神として農業神の倉稲魂命(うかのみたまのみこと)他二柱を祀っています。「他二柱」の祭神については不明です。祭神は松を嫌忌するという伝承があるため、当社境内には松の木がないそうです。

平安時代に『延喜式』「神名帳」記載の式内社で、明治期から終戦期まで県社に列格していました。

神武天皇の第二皇子が創建

上述の通り、当社は綏靖天皇の御代に、天皇の兄により創建されました。

  • 綏靖天皇…初代 神武天皇の第三皇子。第二代天皇
  • 神八井耳命…初代 神武天皇の第二皇子で、皇位を弟に譲った。多氏(おほし)等の祖先

延喜式

平安時代に『延喜式』神名帳の「上総国五座」に「望陀郡一座 [小] 飫富神社」として記載される神社(式内社)で、明治期から終戦期まで県社に列格していました。

※読み方については後述

ところで、下記地図の如く、当社から南は館山に至るまで、式内社過疎地帯となります。

社名は飫富神社?飽富神社?

1,000年前に記された『延喜式』では、「飫富神社」の字に「オフノ-」(またはアキトミ-)とカナが振られています。

その後、「飯富神社」(いいとみじんじゃ)となり、現在は「飽富神社」(あくとみじんじゃ、または、あくとみじんじゃ)が一般的なようです。

厄介な文字①:飯富?飽富?飫富?

現在の「飯富」という地名は、下記のように変化していったそうです。

「飫富」→「飯富」→「飽富」→「飯富」

漢字読み方使用例
飫富おほ、おふ、あきとみ飫富(オフノまたはアキトミ)神社(『延喜式』)
飽富おほ、あきとみ、あくとみ「飽富(アクトミまたはアキトミ)神社」(神社神額)
飯富いいとみ、おほ(年配の方)飯富(オホ)郷(『和名抄』の写本)
千葉県袖ケ浦市飯富(いいとみ)

厄介な文字②:望陀?

「望陀」は現在は「もうだ」と読みますが、『延喜式』では「まくた」とカナが振ってあります。

望陀郡(もうだぐん、まくたのこほり、まぐたのこほり)に存在し現在は木更津にある「馬来田」(まくた)との関りは不明とのこと。

律令時代、同郡は調(租庸調のうち、布や特産物)として「望陀布」という麻布を納めていました。この布は、天皇の最も重要な儀式のひとつである大嘗祭で使用されたり、唐皇帝へ献上品として贈られるなど(遣唐使)、高級品として重要な位置を占めていたようです。

麻と言えば、忌部氏を想像してしまいます。当社近隣には、天太玉命を祀る坂戸神社が鎮座しています。

参拝感想

袖ヶ浦の静かな林と、色鮮やかな神社とのギャップが楽しめる、とても美しい神社です。

建造当初は大変豪奢であったことが伺える拝殿は、長い時を経て落ち着いた色合いに変化し、優しい雰囲気を漂わせています。

創建・由緒

紀元前581年(綏靖天皇(すいぜいてんのう)元年)に皇兄 神八井耳命が創建。平安時代に『延喜式』神名帳に記載(式内社)、明治期から終戦期まで県社、倉稲魂命(うかのみたまのみこと)他二柱を祭神とする神社です。

『千葉県神社名鑑』抜粋

飽富神社 旧村社

祭神
倉稲魂命(うかのみたまのみこと)他二柱

由緒沿革
綏靖天皇元年、皇兄神八井耳命が創始したと伝える。延喜式に妖富神社として記されている。天慶二年の平将門の乱により坂東の地は荒廃し、朱雀天皇はこれを憂えて勅使を送り、神剣を奉納し、兵乱鎮定を祈願した。明治五年県社に列した。末社は東照宮他で、小櫃川流域の沃野を眼下に、杉の老木が枝を交える荘厳な神苑の風景は古社であることをしのばせる。

写真図鑑

社殿

社殿は1691年(元禄4年)に再建されたそうです。拝殿の彫刻が大変素晴らしかったです。

拝殿の彫刻

鳥居

狛犬

境内社、筒粥の説明書

神社風景

近隣からの眺望

参拝順路

詳細情報

社号飽富神社
ご祭神倉稲魂大神(ウカノミタマノオオカミ)
境内社
由緒・歴史
神紋桐の神紋
本殿の向き
住所千葉県 袖ケ浦市 飯富2863
その他■千葉県立中央博物館所蔵の日本博覧図資料 式内県社 飽富神社境内全図
https://www.chiba-muse.or.jp/NATURAL/special/hakuranzu/shohen/1198.html

参考

上記のWeb サイトのほかに、下記を参考にさせていただきました。

  • 『千葉県神社名鑑』千葉県神社名鑑刊行委員会 編 1987年
  • 『房総の古社』菱沼 勇、梅田 義彦 著 1975年

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