南房総市合戸(ごうど)の富山(とみさん)


どちらも頂上に電波塔が建っている。
富山(とみさん)は、南房総市の最北西、岩井海岸で有名なJR「岩井」駅から東に3km の場所に位置する、2つのピークを有する双耳峰(そうじほう)の山です。
北峰は、標高349mで、「金比羅神社」のほか、展望台(建替中)、「愛の鐘」、「八犬士終焉の地」などの名所があり、金比羅峰とも呼ばれています。
南峰は、標高342mで、「福満寺観音堂」があり、観音峰とも呼ばれています。
「天富命」の眠る「天富山」
富山の山頂には、古代、房総を開拓した安房忌部(いんべ)のリーダー 天富命(あめのとみのみこと)が埋葬されたと伝わります。
当山「富山」の名は、この「天富命」に由来し、往古は「天富山」と呼ばれてたと伝わります。
第13代 成務天皇の御代(131年頃?~190年頃?)、「天富命」の裔孫「久豆美(くづみ? くずみ?)」なる人物が、命の神霊を「安房神社」に遷したと伝わります。
現在、命の足跡を偲ばせるものは残っていないようです。当サイト筆者もそれらしいものは一切見つけられませんでした。
登山道
登山道は、「伏姫籠穴ルート」「福満寺ルート」「吉沢ルート」があり、「伏姫籠穴ルート」は難所があるため推奨されていません。
「伏姫籠穴ルート」「福満寺」の両ルートは、「岩井」駅から徒歩での登山が可能です。
『八犬伝』の聖地
「伏姫籠穴ルート」の開始付近には、滝沢馬琴の『南総里見八犬伝』の舞台となった「伏姫籠穴」(ふせひめろうけつ)があります。作中で伏姫(ふせひめ)が籠った洞窟の元となった岩窟で、よく整備された幻想的で美しいスポットです。
北峰付近には八犬士にちなんだ「八犬士終焉の地」なる休憩所もあります。『八犬伝』作中では、富山を”とやま”と読むそうです。
登山日記
千葉県の神社を調べていると必然的に行き当たる、房総を開拓した忌部氏(いんべし)とそのリーダー 天富命(アメノトミノミコト)…。
さて、岩井海岸は、ひと夏に何度も泳ぎに訪れるお気に入りの場所。駅から見える富山の姿形の良さはずっと気になってはいたのですが、あの天富命の墓がこの山の頂にあると知り、居ても立っても居られず人生初の「一人登山」。
行きは危険な難所のある伏姫籠穴ルートから登頂、帰りは安全な福満寺ルートで下山。
伏姫籠穴ルートは、道中の景色が良く登っていて楽しいのと、伏姫籠穴を見学後すぐに登山できるというメリットがあります。ただし、ロープで岩登りする箇所や「足を滑らせたら滑落」するような箇所が何か所かあるのと、後半は小休止できるスペースもないため、お子さん連れや足が不自由めな方には全くおすすめできません。私も、次回来るときは選択しないかもしれません。
福満寺ルートは、足元が整備されているので安全な山登りを楽しめます。伏姫ルートに比べ傾斜が緩やかですが、景色の変化に乏しく、足元も山道という感じではないため、若干単調な印象を受けます。
駅からのアクセスが良く、登山道中は、伏姫籠穴、金比羅神社、休憩所、寺跡など見所も多いうえに、景色も素晴らしいため、大変楽しめる登山でした。
ところで、天富命の墓のようなものは発見できませんでした。
登山に要した時間
2024年7月5日、晴天。うだるような暑さと非常に高い湿気のなかの登山の記録。
↓ 32分
↓ 56分
↓ 10分程度
↓ 20分程度
↓ 48分
探訪の写真・記録
JR「岩井」駅 → 伏姫籠穴駐車場
↓ 20分程度
↓ 13分程度

改札は西側にだけあります

これからこの山に登っていきます

正面が南峰、その左が北峰

公園の奥の踏切から、線路の東側へ渡りましょう





正面に富山が見えます


伏姫籠穴を観たい方、危険目な伏姫籠穴ルートで富山頂上を目指す方は左に曲がります。
安全な福満寺ルートで目指す方は曲がらず真っすぐ進みますj。

ここまでが人間界です

右手には落石注意の看板が






伏姫と八房の文字が見えます

私は杖を借り、後々とても助けられました
伏姫籠穴については、以下のページをご覧ください。
【伏姫籠穴ルート】伏姫籠穴駐車場 → 南北ピーク間の鞍部(コル)
↓ 後半休みながらゆっくり登って56分


















早く着きたい!


















右に行くと、南峰と福満寺ルート
鞍部(コル) → 里見八犬士終焉の地 → 展望台(工事中) → 富山北峰(金比羅峰)
鞍部まで登ると、足元が広く平坦に整備され、肩透かしを食らいました。ここから下山するまで終始安全目な道となります。北峰までは300m弱ほどの道のりです。








電柱と送電線が見えます
















弓状の岩井海岸が見える


























下界からも見える北峰の目印






















鞍部 → 富山南峰(観音峰)/福満寺観音堂
鞍部を右(南方向)に曲がると、100m 程度で南峰(観音峰)に到着します。
石造りの階段を登った頂上は、樹々に囲まれた平らな空間になっています。寂れた観音堂(跡?)、石仏等があり、足元には石造りの人工物がゴロゴロと転がっています。下草がぼーぼーで足元が危ういため、長居はしないほうが良いかもしれません。














生い茂る草の間に、お堂跡や石造りの人工物が散乱しています。
左上に電波塔が見えます。




危ないだけなので、こちらに行くのは止めましょう。












上部には卍の形の石が。


割と新し目に見える


頭は後から付けられたのだろうか。




背中には羽のようなものが。
背中から、しっぽのような刀のようなものが伸びている。
地球外生命体のようにも見える!?




頭はなく、石の感じから、そこまで古いものではないように見えた。






【福満寺ルート】南峰 → 福満寺本堂
帰りは福満寺ルートで下山しました。このルートは、足元がコンクリートなどで整備されており、特に難所もなく、すいすい降りることができます。二合目より下の方が角度がきつい印象を受けました。
↓ 48分












中央右は福満寺の本堂


とても助かりました、ありがとうございました!


山門の仁王像は、平成10年に山頂からここに移されたとのこと。
どうやって下したんでしょうか…。
ここから「岩井」駅までは2km 程度。
詳細情報
| 名称 | 富山(とみさん) |
| 住所 | 南房総市合戸 |
| その他 | ■安房国札観音霊場巡り 福満寺 https://awa-junrei.jp/history/12hukumanji/ ■南房総市HP 富山の鐘 https://www.city.minamiboso.chiba.jp/0000001761.html |
参考
下記を参考にさせていただきました。
抜粋
安房神社の祠官岡嶋家に伝わる「安房齋部本系帳」によると『富山、本ノ名ハ天富山。即天富命窀穸(ちゅんせき)(埋葬した塚穴)之所。成務帝ノ時裔孫久豆美者、神靈ヲ安房ノ神社ニ遷ス』。と記され、また千光山清澄寺の寺伝には『神武天皇の御宇、此所に於て天富命を奉祀す。今本堂の紋章に三玉を用ふるは之が為なりとぞ。』と記されている。富山や清澄山のような安房での名山が天富命を祀った聖地として伝えられているのである。
P106
引率者であった天富命は、安房の斎部本系帳によると、「富山、本ノ名ハ天富山。即天富命窀穸之所。成務帝ノ時裔孫久豆美者、神霊ヲ安房ノ神社ニ遷ス。」と。
書籍
- 『古語拾遺』斎部広成 編 807年
- 『大麻と古代日本の神々』山口博 著 2014年
- 『富浦町史』富浦町史編さん委員会 編 1988年
- 『館山市史』館山市史編さん委員会 編 1971年










