成田名所図会(成田参詣記)とは?
『成田名所図会(なりためいしょずえ)』(別名『成田参詣記』)は、江戸の日本橋から成田山新勝寺までの道すがらの名所を紹介した一種の旅のガイドブックです。1858年、参詣客増加を狙った同寺により刊行されました。
著者は、寺侍を務めた中路 定俊(なかじ じょうしん)とその息子の定得(じょうとく)とされていますが、ほかに『下総旧事考』の著者 清宮 秀堅(伊能 忠敬の親戚)の関与も指摘されています。画は、長谷川 雪堤(はせがわ せってい)等が担当。
成田名所図会(成田参詣記)に描かれている神社
本佐倉城周辺の神社
「本佐倉村千葉家故城址の図」には、本佐倉城近辺の神社仏閣が記載されています。
北を上に向けるために図を90°回転させた
左上を拡大:佐倉市大佐倉の将門口ノ宮神社、八幡神社
左上に、将門口ノ宮神社、八幡神社が見えます。
1858年当時、口宮神社と将門社は別の神社でしたが、明治以降に合祀され、現在の将門口ノ宮神社となりました。
そのすぐ東に、林の中の長い境内が気持ち良い八幡社、現在の八幡神社も見えます。
「将門社」「口宮」「八幡社」は現在も残る
将門口ノ宮神社と八幡神社は現在も残る。
地元の方に聞くところによると、元の将門社があった場所は畑、妙見社があった場所は私有地で詳細不明とのことです
酒々井町の諏訪神社、妙見神社、神明大明神
「スワ社」「妙見」「神明」は現在も残る
酒々井町の下宿麻賀多神社、真言宗豊山派 東光寺
麻賀多神社│成田市台方、船形
成田名所図会(成田参詣記)関連書籍一覧
成田名所図会(成田参詣記)
安政年(1858年)│刊行:成田山新勝寺│著者:中路 定俊、定得│画:長谷川 雪堤等
原書。図書館での閲覧は可能だが貸し出しは困難か。
成田名所図会
昭和48年(1973年)│出版:有峰書店│翻印者:大野 政治
上記の書籍化。ネットで良い値段で取引されているが図書館で貸出可能。現代語訳はなし。
成田参詣記 : 現代語訳
1998年│出版:大本山成田山新勝寺成田山仏教研究所│編者:若杉 哲男、湯浅 吉美
新勝寺所属の学術研究機関による現代語訳本。唯一の現代語訳本か? ネットで良い値段で取引されているが図書館で貸出可能。
『成田参詣記』を歩く
右:『『成田参詣記』を歩く』
2001年│出版:崙書房│著者:川田 壽
『成田参詣記』の挿絵に焦点をあて、現在する建築物・自然・道等と照らし合わせた解説本です。『成田参詣記』以外の古書からの出展情報も多く、見応えがあります。すべての挿絵が掲載されているわけではなく、現代語訳もないので、それらの点は注意が必要です。ネットで容易に購入が可能、『成田参詣記』とこの補完本を合わせて読むのがおすすめです。