市原市惣社の戸隠神社(とがくしじんじゃ)の概要


戸隠神社(とがくしじんじゃ)は、信州の「戸隠神社」の勧請社であると考えられる、市原市惣社に鎮座する神社です。
創建年代は、『千葉県神社名鑑』等に740年(天平十二年)とあるほか、8世紀後半、室町時代、江戸時代などの説があります。
明治期から終戦期まで村社に列格していました。
当社の鎮座場所の地名が「惣社(そうじゃ)」であることから、上総国の総社は当社であったという説があります。
祭神
祭神として次の神様が祀られています。
- 思兼命(おもいかねのみこと)
- 天手力雄命(あめのたぢからおのみこと)
- 表春命(おもはるのみこと)…「思兼命」の御子神


ちなみに、信州の「戸隠神社」の祭神は次のように祀られています。
- 奥社:天手力雄命(あめのたぢからおのみこと)
- 中社:天八意思兼命(あめのやごころおもいかねのみこと)
- 宝光社:表春命(おもはるのみこと)
由緒、沿革
『千葉県神社名鑑』や境内由緒書に、創建年代は奈良時代の天平十二年(七四〇年)と記されています。これを裏付ける文献は、現在調査中です。

これらの資料に、「信州戸隠大神ノ垂跡」「長野市の戸隠神社が元宮」とあるほか、後述③から、信州の「戸隠神社」の勧請社であることが推察されます。
創建の由来については、次の4つがみつかりました。
① 天平年中(729年~749年)、「原野藤内」が赤銅の撞鐘等を祀り創建
国分寺所蔵縁起によると、天平年中(729年~749年)、五井の海岸では鯨の声のような鐘がなるような異音が響いたため、人々は恐れて暗くなると外出しなくなった。
同じ頃、「原野藤内」という人が両目を患い視力を失った。視力を回復しようと国分寺に祈願すると、「あの浦の橋のあたりに行き、音の源を尋ねれば両目が速やかに癒えるだろう」という夢を見た。そこでその橋に行くと、大きな音が鳴り異様な臭いがし輝く光が現れ、両目はたちはち光を取り戻した。そこに老人が現れて、「吾は『戸隠大明神』なり。国分寺の守護の為に現れた。吾をその境へ祀るべし。奥の方で光っているのは竜宮城より捧った法器なり」と言い終わると”御正体”(ご神体のこと?)となった。「藤内」は驚きながらも光の方を確認すると、波打ち際に赤銅の撞鐘があった。”御正体”と鐘を国分寺の境に運び、お告げに従って国分寺の境に「戸隠大明神」として祀った。
参考:境内由緒書等
② 784年に「相川久太夫」が創建、794年に「本田重房」が遷座
宮崎氏略伝によると、長野県の「村井長康」の家臣「本田八作重房」が文武修行のため上総に向かう途中、海難に遭った。船長の「島藤内」や「相川久太夫」らがひたすら神々に無事を祈ると雲間に戸隠の神が現れ、五井にたどり着くことができた。そこで、「相川久太夫」が芦原の地を清めて、戸隠の神を祀った。十年後の延暦十三年(七九四年)八月に「本田重房」が惣社の里に移し祀った。
参考:境内由緒書等
③ 足利時代に「村上義芳」が「諏訪神社」「戸隠神社」を勧請
足利時代、信濃源氏の「村上義芳(よしふさ)」が上総村上に築城して、この附近に「諏訪神社」と「戸隠神社」を勧請したと伝えられる。現在の「諏訪神社」の南方の養老川岸に「諏訪神社」を、現在の「諏訪神社」の北方の窪地に「戸隠神社」を勧請したとのことである。
参考:『市原地方史研究 第1号』
④江戸時代中期の1744年創建
延享二年(一七四四)八月創建という。
参考:『市原市史 中巻』
写真図鑑
拝殿








低地の水田を見下ろしている
本殿


鳥居








狛犬




境内社
当社はまず「祓戸大神(はらえどのおおかみ)」に参拝するよう求められます。「祓戸大神」含む多数の境内社の位置は、地図を確認しましょう。


祓戸大神
禍事・罪・穢れを祓い清めてくださる「瀬織津比売(セオリツヒメ)、「速開都比売(ハヤアキツヒメ)、「気吹戸主(イブキドヌシ)、「速佐須良比売(ハヤサスラヒメ)の四柱が祀られています。




浅間神社(富士塚、浅間塚、本郷一号古墳)
「木花開耶姫」「彦火瓊瓊杵尊」「大山祇神」を祀ります。奥の富士塚(浅間塚)は、本郷1号墳という古墳です。



参考:令和4年度市原市内遺跡発掘調査報告
https://www.imuseum.jp/material/files/group/1/c060_shinai_R4.pdf



金毘羅宮(琴平神社)
「大物主神、「崇徳天皇が祀られています。




子安神社
「木花開耶姫が祀られています。



子安神社、大杉神社、八坂神社、熊野神社、十二所神社、疱瘡神社





天神宮
「菅原道真が祀られています。



上総伏見稲荷神社
「宇迦之御魂大神」「大宮能売大神」「佐田彦大神」「四大神」「田中大神」が祀られています。









境外の道祖神



境外の雷電池と弁財天
周囲の水田よりも雷電池の方が高地にあります。






境内樹木




その他


境内風景





参拝順路








基本情報
| 社号 | 戸隠神社 |
| ご祭神 | 思兼命(おもいかねのみこと)、天手力雄命(あめのたぢからおのみこと)、表春命(おもはるのみこと) |
| 住所 | 市原市惣社218−4 |
参考
下記を参考にさせていただきました。
抜粋
戸隠神社(とがくしじんじゃ)(通称 とがくしさま) 旧村社
祭神
思兼命(おもいかねのみこと)天手力雄命(あめのたぢからおのみこと)表春命(おもはるのみこと)
由緒沿革
天平一二庚辰年八月初酉の日の鎮座で、信州戸隠大神ノ垂跡といわれる。創建の由来に因み、例年八月初酉の日、五井浦大音橋まで神輿渡御がある。

戸隠神社 ご由緒
鎮座地
千葉県市原市惣社四-九-一八
ご祭神
思兼命(おもいかねのみこと)
天手力雄命(あめのたぢからおのみこと)
表春命(うわはるのみこと)
社格
旧村社
例祭日
十月十七日に近い日曜日
由緒
奈良時代の天平十二年(七四〇年)八月初西の日のご鎮座。
国分寺所蔵縁起によると、その頃五井の海岸では夜な夜な風もないのに海辺から聞こえる得体の知れない音に悩まされていた。鐘の鳴るような音で海獣が吠える音のようでもあった。人々は夜には固く雨戸を閉じ、恐怖におののいていた。
同じ頃、原野藤内という人が両目を患い視力を失った。視力を回復しようと国分寺に参籠して祈願し、満願の十七日目の夜に霊夢を見た。「あの浦の橋のあたりに行き、音の源を尋ねれば両目が速やかに癒えるだろう」。深夜、夢の教えに従って橋に行くと、大きな音が鳴り異様なにおいがし、輝く光が現れた。すると両目はたちはち光を取り戻した。白昼の知く光る源を探ろうとすると老人が現れて、「私は戸隠大明神である。国分寺の守護ののためここの現れた。私をその境へ祀るように」と告げる。そのお告げに従って、国分寺の境に戸隠大明神として祀った。
また、宮崎氏略伝によると、長野県の村井長康の家臣であった本田八作重房が文武修行のため東国に向かう途中、上総に渡るときに海難に遭った。船長の島藤内や相川久太夫らがひたすら神々に無事を祈ると雲間に戸隠の神が現れ、五井にたどり着くことができた。そこで、武術使であった相川久太夫が芦原の地を清めて、戸隠の神を祀った。十年後の延暦十三年(七九四年)八月に本田重房が惣社の里に移し祀った。
延長年中(九二三年~九三一年)には、平将門が上総国市原郡に五畿内の諸神仏を移し、戸隠神社には上総国の諸神を集めて国司が祈願する総社が置かれた。
また、この戸隠神社は長野市の戸隠神社が元宮で、神話の「天岩戸」や「天孫降臨」に関わる神々をお祀りする。
上総国総社として崇敬を集め、鎮座する市原市惣社の地名も上総国の総社が置かれたことに由来する。
P705
(十六)戸隠神社(惣社)
延享二年(一七四四)八月創建という。「戸隠神社縁起」を伝えている。(後略)
P2
足利時代、信濃源氏の村上義芳が上総村上に築城して、この附近に諏訪神社と戸隠神社を勧請したと伝えられる。現在の諏訪神社の南方で養老川岸に諏訪神社を、現在の諏訪神社の北方で窪地に戸隠神社を勧請したとのことである。
Webサイト
- 『令和4年度 市原市内遺跡発掘調査報告』
https://www.imuseum.jp/material/files/group/1/c060_shinai_R4.pdf - 信州 戸隠神社 HP
https://www.togakushi-jinja.jp/
書籍
- 『千葉県神社名鑑』千葉県神社名鑑刊行委員会 編 1987年
- 『市原地方史研究 第1号』市原市文化財研究会 編 1966年
- 『市原市史 中巻』市原市教育委員会 編 1986年
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